芸の上でファン同士。そして思ったことは何でもズバリということで知られている雷蔵サンと寿美サンが、顔を会わせたことですから・・・

とき: 八月三十日、残暑きびしい夕べ。
ところ: 京都、嵐山のとある座敷。
ひと: いうまでもない。この日、ご両人の服装は、雷蔵・源氏がサーモンピンクのオープン・シャツに紺のズボンというラフな着流しスタイルならば、かたや寿美・藤壺の装いは、赤いバラをちらした濃いグリーンのワンピース。
 ともに、仕事のときとは、ガラッと変った現代調だ。 さてー。

 というところで幕があくと、さすがに京風な雅びた風情。庭にひきこんだ小川のせせらぎにのって、微風が、あるかなきかに、さ、と流れる。闇の中に、なおも、ひとしきり、つくつくほうしの声がして・・・。

 その中に、ときどき、笑い声が楽しそうにはじけるように響くひととき。突如。何を間違ってとびこんできたのか、ゴキブリ一匹。とたんに“オンナ裕次郎”の異名をとる寿美さんが、「キャー」 なんともハデに、とび上ったものであった。