1958年度第九回ブルーリボン賞の男優主演部門に入賞・・・と聞いて「ただもう嬉しくって」顔をくずして喜んでいた。

 毎日、ジャンパー姿で撮影所内を飛廻り、ぶらない性格と明朗で少々チャメッ気のあるところが何処ででも「雷ちゃん」と呼ばれてスタッフの間で人気のあるゆえんである。

 彼は二十九年に関西歌舞伎から大映に入社、“花の白虎隊”でデビューしてから現在までの四年間に五十数本の映画に出演してきた。

 今度の受賞も“炎上”や“弁天小僧”ばかりでなく、堅実なしかも充実した演技が対象になったという。いわば、なんでもこなせる器用な人だ。

 いわく、これからは良い意味での野心作と情熱をもって時代劇の前衛的存在になりたい・・・と彼らしい抱負をもち、未来の大スターへと一歩一歩近づきつつある。京都生れ、二十七才。

次作品のために笛の稽古。彼の稽古熱心は有名だ。