「剣」の思い出   川津 祐介

LAで長い歴史を誇る邦字新聞「羅府新報」。その主催による講演会の講師が川津祐介氏・・・えっ、これは何をさておいても、馳せ参じ、「剣」の医王寺・鞆の浦ロケのお話を伺わなくては・・・。

というわけで、講演会に駆けつけたのは言いのだが、申し訳ないテーマについては全く知らず、らいぞうさんしか眼中になかった(^O^)ゞ ところが・・・・

 

「宇宙と人間の約束」

あなたは偶然のようにそこに生まれ、偶然のようにさまざまな事件や事態に出会っています。しかし、本当にすべてが偶然の所産なのでしょうか。もしそう思われているとしたら、あなたは約束された人生の三分の一しか生きていないことになってしまうと思います。それはとてももったいないことです。

もし、あなたがご自分の人生に起こるすべての事件や事態を必然と受け止め、すべてをご自身の責任として引き受けられたのなら、その瞬間からあなたの人生は思いがけない可能性をあなたに開いてみせると思います。

記念撮影にも気軽に応じてくださいました

 

そうなんだ!!いろいろあったけれど、こうしてRaiF-Clubを立ち上げられたのは、約束されたことだったんだ。川津さんのおっしゃるように必然と受け止めた瞬間から新たな責任とやりがいが生れたんだ。目からウロコだ!!雷蔵さんありがとう!!あなたの縁でこんな素敵な人に会えて、こんな素敵なお話が聞けた!!

もちろん、素敵なお話の後で、「剣」のロケのお話も伺いました。

衝撃!!あやうく溺れ死ぬところだった?!の真相

 

よく、知られているように、真夏の強化合宿のシーンが撮影されたのは寒さが一番厳しい二月(64年2月26日から29日まで)。しかも、ロケ地・鞆の浦は前日まで雪模様。天候は回復して晴れ上がったものの、寒い!!半袖のランニングシャツに短パン姿。震え上がるのも無理がない。

記念にLDにサインしていただきました

 

−みんなを煽動して、禁じられている海水浴をするシーンで、実は溺れかかったんですよ。何もしなくても寒い上に、海水につかっているわけ、ばしゃばしゃするばかりで、なかなか膝より下まで海水につけることができない。そこを監督さんは「それじゃ海水浴にならない、もうちょっと勢いよく泳がなくちゃ」 もうやけくそですよ、もともと泳ぎには自信があったし、自分が煽動したわけだから、泳いじゃいましたよ。でも、役者はカットの声がかかるまでやめるわけにいかないでしょ、そのまま必死で泳いで、ようやくカットの声。岸を振り返ったら、はるか遠い・・・、何度もテストを繰り返しているので、身体は冷え切ってしまっている。どうしょう・・・兎に角、泳ぐしかない。でも、足がつってしまい、もうだめだ!!観念して身体が沈んでしまう・・・ところが足がついた!!それからは死に物狂いで泳いでなんとか助かりました−

−息が白くならないように、かち氷を口に含んでからセリフを言うわけでしょ。雷蔵さんはセリフの少ない役なのでいいのだろうけど、僕は随分冷たい氷をふくませられてたいへんでした。当時からアクションスターをめざしていましたから、身体は鍛えていたので腕立て伏せは平気だったし、雷蔵さんも一生懸命やってましたよ。−

 

当然ですが、もう一本の共演作「眠狂四郎人肌蜘蛛」のお話も伺いました。実はこの作品、結構みわは好きなんですよ。

−最後に雷蔵さん扮する狂四郎に斬られてしまう役なのですが、ちょっときざな役で、嫌な奴だったでしょ− 「いえいえ、私この狂四郎は好きな作品なんですよ。実の妹と近親相姦のような兄の役で素敵でしたよ」 −それはうれしいなぁ、でも、よくごぞんじですねぇ−

96年1月に心筋梗塞で倒れられて、バイパス手術を受けられお元気になられたとか。その際の貴重な体験から得られたものをお話いただいているのだが、LA到着数時間後に講演、そして遅くまで、みわの質問に嫌な顔ひとつなさらず、それどころか「うれしいなぁ」とおっしゃいつつ、思い出すままに語ってくださいました。川津さんほんとうにありがとうございました。そして、いつまでもお元気で。みわも約束された人生を、精一杯生きて見せます。(11/25/02)