人気スタアの結婚はなぜ騒がれる?俳優の婚期がおくれる理由は?人気の逆作用といってしまえばそれまでのことかも知れないが−

 ここに“錦ちゃん、雷ちゃん、結婚しないで!”と訴えるひたむきなファンの声がある。普通人でありたいとねがうスタアの偽らざる心境と、スクリーンと客席にただよう異様な空気を分析してみたのがこのルポだ。

結婚に反対する“乙女の祈り”

−一月十三日に私が昼食をしていたら、テレビに“裕ちゃんとマコちゃんのアメリカ新婚旅行”とうつりました。私はびっくりして、その場で昼食をやめて大声で泣きだしたら、友だちが「新婚旅行じゃないわね」って私をなぐさめてくれました。私としても新婚旅行をほんとうにしていなかったのですが、あまりのくやしさで、思わず泣けてしまったのです。(後略)

 これは、岐阜県に住む裕次郎ファンのY子さんから、東京の園田恵美子さんにあてた手紙の一節。園田さんとは、他でもない、本誌2月14日号で“裕ちゃんなんてキライ”と、裕次郎への憤マンをぶっつけた18歳少女だ。

 あの記事が出て以来、恵美子さんのもとへは、全国の裕次郎ファンから署名、無署名とりまぜての投書が殺到、一週間ほどのうちにかるく60通をオーバーしてしまった。その内訳は、恵美子さんの意見に賛成のもの22通、反対30通、中立派8といったところ。雑誌の発売とほとんど同時に届いた手紙には、はんはだ戦闘的な抗議文が多く、

−結婚は個人の自由。憲法二十四条を見ろ。裕ちゃん大好き。お前にみたいなのは裕ちゃんのファンじゃないぞ。マコと裕次郎の結婚賛成。
−貴女は独占的意欲が強すぎはしませんか?多分貴女は世の男性すべてから嫌われるでしょう。貴女は裕ちゃんを人間として認めていないのです。股下の長い動く人形としか考えていないのです。
−あなた裕ちゃんをなぐってやりたいなんて書いてるけど、あまりなまいきなこと言わないでよ。私たちがきさまをなぐってやりたいわよ。週刊明星を見ると、まるで貴女が裕ちゃんを一人じめしているみたいよ。裕ちゃんはね、良家のお坊ちゃんなんだし、どこの馬の骨だかわからない田舎のねえちゃんじゃ、ファンになっても裕ちゃんがかわいそうよ。ばか、なまいき、おたんこなす、えらそうな口をきくな。(以上原文通り)

 と、まずザッとこんな調子である。

 こうしたエキサイト・レターの大部分は無署名で、中には“石原裕次郎・北原三枝ご両人が一日も早くゴールインすることを願う一裕次郎ファンより”という長たらしいのから“九州に住むあなたより頭のよい女”との差出人もまじっている。

 変り種では、はげしい反対意見の末尾を「仲むつまじいお二人の写真を同封しておきます。またお便り下さいね。乱文乱筆ごめんなさい」とやさしく結び、わざわざ雑誌の切抜き写真を添えたものもある。

 そして時がたつにつれ、同じ抗議文でも、ヤンワリと恵美子さんの反省をうながすものがふえてくる。

-(前略)それに、女の子(レディ)がなぐりつけてやりたいなんて、都会に住んでいる娘の言うことばでしょうか。私は信州の片田舎に住む娘ですけれど、私達だってそんな言葉を口にだしたことはありません。私もミーハー族の代表ですけれども、ミーハー族でも一から十まであります。もっとやさしい理知的な考え方をする人もあれば、貴女のように下等な言葉を口にするミーハー族もあります。(中略)、貴女もどうぞ裕ちゃんの絶対なるファンでしたら、マスコミがどんなにさわごうと、若い裕ちゃんとマコちゃんのために、そっとやさしい気持をもってほしいと思います。 大変失礼しました。                                                      家事手伝 16歳