ケレン味のない誠実さ

 

 恋 愛

 恋愛のしかたはその人の性格を反映します。

 何事もサバサバした性格の雷蔵さんは、「近代的な明るさをもった、しかも女性らしい心の持主が好きです」と云っています。

 映画スタアというという特殊な仕事をよく理解してくれる、家庭的なやさしい女性を望んでいるのです。ちょうど「ユリシーズ」で娘役をやったイタリー女優ロッサノ・ポデスタのような・・・。と云って、その恋愛成就は成るごとくして成らず、かなりの時日がかかるでしょう。

Rossano Podesta(1934-2013)

 中学校時代には成績はいつもトップクラス近く、雷蔵さん自身も、「平凡でもいい、地味で平和な生活をしていきたい」と、銀行員か医者を志望していました。

 その平凡なしかし尊い信念をいつまでも持ちつづけていることが大切なのです。もし少しでも「思い上がり」の気持があったら、千慮の一失、美しい恋愛の芽をも自分でつむようなことになりかねません。

 若くて、独身で、ハンサムな人気映画スタアが何千何万という若い女性の憧れのマトになるのは、ある意味では当然とも云えるでしょう。

 ですから、「何も一人の女性だけを守っているこもない」と云っては云いすぎでしょうが、恋人なんかに気を使う以上に現在の自分の人気なり芸なりに打ち込んでいる段階にある雷蔵さんなのです。