「そらやっぱり、セットの驟閣よりホンモノの金閣のほうが美しいわ」 |
ためいきまじりに感心するのも、映画をとおして金閣寺に親しんだ雷蔵さんの実感でしょう。 |
池に映える金閣の眺めも格別です。 |
特別篇:
当時私は雑誌(月刊明星)のカメラマンであった。ある日「金閣寺復興と雷蔵」をテーマにグラビア写真を撮ることになり、彼と私は丸太の足場をのぼって金閣寺の屋根に出た。彼は屋根の上にのった金色の鳥にまたがりポーズしてくれたが、高い所に弱い私はカメラを持っているので何かにつかまりたくてもつかまれず、結局ろくな写真はとれなかった。
その後、三島由紀夫が小説「金閣寺」を書き、大映がその小説をもとに映画「炎上」を制作した。主演雷蔵の好演はブルーリボン賞の受賞となり、私は早速彼に会ってお祝いを云い同時に
「金閣寺に縁がありますね」
と言ったら・・・・
「何をいってるんだよ、ひとにあれ程こわい思いをさせときながら本に載ったのはあんな小さい写真一つだったじゃないか・・・・」
と言い出した。彼も余程こわかったんだなと思うと、その間三年もたっているのに・・・・とボヤく彼をみながら申しわけないやらおかしいやら・・・・。日頃、他人に文句を言ったり、いやな顔をしたりする事のない彼だっただけに私にとってもすっかり忘れられない出来事となった。(木村茂「心のあたたかな人」抜粋-追悼レコードより-)
北山鹿苑寺・金閣寺 〒603-8361 京都市北区金閣寺町1 TEL:075-461-0013 |
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