ゴシップに悩まされ

淡谷: 雷蔵さんのちいさい時には、とても可愛らしかったでしょうね。

雷蔵: 生れた時から、にくたらしい子ってのもありますね。(笑)

淡谷: ありますよ、そういうのも。(笑)しかし、あなたを見てると、およそ悩みなんてないみたいね。

雷蔵: 取り立てていうほどはね。

淡谷: 仕事の上の悩みなら、年じゅうでしょう?

雷蔵: それも別にありませんよ。(笑)

淡谷: 作品と作品の合間には、どうしてらっしゃるの?

雷蔵: たいてい東京に出てます。

淡谷: さしあたってゼンコ(東北弁でお金のこと)の心配もないでしょうし。

雷蔵: まあね。

淡谷: あんまり恵まれ過ぎて悩みがないんでしょぅ。そのうえ女性の悩みもまだないとは・・・。

雷蔵: 取り立ててはね。(笑)

淡谷: 雷蔵さん、このごろのファン心理って、移り気だと思いませんか。一人であっちのファンになったり、こっちのファンになったり・・・。

雷蔵: たしかにいそがしいですね。

淡谷: 私、デビュー当時からのファンが一番うれしいですね。表面にはあらわれずに、かげながら応援して下さる人たち。だからこそ、こうして三十年も歌ってこられたんだと思います。

雷蔵: 僕も五年目ですから、そろそろファンの層が落ちついて来ました。これなら僕が結婚しても、どうこういうことないでしょう。

淡谷: そう、結婚に差支えないようなファンでなくちゃあね。(笑)あなたのファンは、あなたが幸せな結婚をするように、望んでるんじゃありませんか。

雷蔵: そうでしょうかね。(笑)

淡谷: ひどいゴシップに悩まされたことは?

雷蔵: ありますよ、ずいぶん。(笑)

淡谷: いやね、私なんか人のぶんまで背負わされて、一回しか結婚はしないのに五回したなんんて書かれるし・・・。(笑)男についてのゴシップなら、みんな私だとおもってるのよ。(笑)

雷蔵: 僕は、ここ二ヶ月ほどの間に、婚約者が四人いることになっちゃった。

淡谷: よかったじゃない。(爆笑)

雷蔵: 一人ならともかく、四人じゃ、ウソだってことも立証したようなもんだ。

淡谷: でもほんとうのファンは、でたらめなゴシップには迷わされないわね。またあんなデマがとんでるくらいに思ってくれる。

雷蔵: なにを書いてくれてもいいんだ、ちょっとでも、僕が好きだなと思って人のことならね。(笑)それなら悪い気はしないけど、なんとも思ってない人についてのゴシップじゃヒドイ。(笑)

淡谷: ほんとのことは誰も知らないのよ。この間もある婦人雑誌の座談会で、他人のスキャンダルを背負わされたわ。(笑)

雷蔵: どんなことです?

淡谷: それがフルってるの。私がフランスへ行く時に、それまで関係のあった男を一堂に集めてパーティをひらいたんですって。(笑)イタリアへは行ったことがあるけど、フランスへな行ってないんですよ。(爆笑)しかもその男の数が十五人ですって。残念でした、というほかないじゃないの。(笑)