昨今、時代劇若手スタアの双璧と云えば、東映の中村錦之助、大映の市川雷蔵といっても差支ないかも知れない。共に歌舞伎出であり会えば胸襟を開いての、親しい喧嘩友達であり、役柄も相似た作品が多い。云わば“心の友、芸の敵”でもある。この良きライバル対談を企画してから約一ヶ月、大映と東映と眼と鼻の近さに在りながらお互いがスケジュールの都合で、なかなか逢えない。

サテ、すったもんだの揚句の果、三月の、とある日の夕ぐれ、東映撮影所の近く、あるお好み焼屋の奥座敷、待ちくたびれた錦ちゃんのところに雷ちゃんが駈けつける開口一番、錦ちゃんの鋭い白刃が閃めく、果してこの勝負どうなることやら・・・?