地味で近代的で

「趣味は自動車の運転とお茶です・・・」

恭子さんは、つつましくこういいましたが、恭子さんのお友達の話では、趣味はなかなか広く、音楽、舞踊、演劇、茶道、洋裁、スポーツ、自動車と近代女性に必要なことは、すべて習得ずみとのこと。

なかでも、ピアノ、茶道は先生について熱心に習っている上、教授のお免状が取れそうとのこと。またスキーは、二、三年前からはじめ、「あれほど面白いものは、ないですね」というほどです。

「今年はお正月に行く予定だったんですけど、嘉男さん(雷蔵さんの本名)が、国際劇場に出演中なので、私だけ遊ぶわけにゆかないから止めました」

と、もう立派な花嫁修業ぶり。

自動車は昔から大好きで、念願の自動車免許をとると、さっそく学内に自動車愛好会を作り、みずから会の役員をかって出たほどです。いま恭子さんはスマートなコロナを持っていて、毎日乗りまわしていますが、これは雷蔵さんが上京すると甘くて小さな“走る二人だけの部屋”に早変わりするわけです。

スキーと車が得意で・・・などというと、恭子さんは派手好きな女性のように思われるでしょうが−。

実際の恭子さんは、それとはまるで反対の女性。「幼稚園の先生になりたくて、芸能人とか有名人とかとは結婚したくないと思っていた」と、地味で堅実な考えをする人ですし、洋服なども派手なケバケバしいものは嫌いで、主に紺系統のものを上品に着こなす人なのです。地味で上品で近代的−これが恭子さんのすべてのようです。