芸能人は嫌いでした

芸能人とは結婚する気はぜんぜんありませんでした−。

こう思っていた恭子さんが、どうして雷蔵さんと婚約することになったのでしょう。話は一昨年の昭和35年10月にさかのぼります。

ハワイの二世のお嬢さんで、恭子さんの親友の木村洋子さんがこの月来日して、「どうしてもファンの雷蔵さんにあいたい」といったのです。

芸能界のきらいな恭子さんは、しぶしぶ案内して京都の撮影所へ、深窓の令嬢を迎えて大喜びの雷蔵さんは、その夕、二人を食事に招待しました。

そこでの立居振舞いを見、話を聞いて、雷蔵さんは「ボクの理想の女性はこの恭子さん」と決意してしまったのです。

一方の恭子さんは、「芸能人らしくないいい人」とは思っても、結婚の相手とは考えてもみなかったようです。

しかし、その後、洋子さんに頼まれたサインを受け取るため東京で雷蔵さんに逢った恭子さんは、芸能人らしくなく誠実な雷蔵さんに好感をもつようになりました。

それから一年−。

ひそかに目立たない交際−それは仕事のあい間を見て雷蔵さんが上京し、恭子さんの家で家族と共に団欒というものでしたが−続けられました。

そして昨年の暮、親友中村錦之助さんと同じ年の暮にめでたく婚約を発表したのです。

今、お二人は、甘い婚約ムードにひたりながら、3月27日の結婚式を待っています。「結婚しても学校だけは卒業するようにしよう・・・」などと話しあいながら・・・。