本誌 先月は雷蔵さんは、二本かけ持ちで、あいている日が一日もなかったので、やっと今日寸暇が出来て、東千代之介さんとの対談が出来たことは、読者諸君にも喜んで頂けると思います。ひとつ本誌読者のため、御両人とも忌憚のないお話を、お願いしたいと思います。

雷蔵 千代之介さんとは、実は映画俳優協会青年部の幹事をしている関係で、時々お会いしていますが、忙しいので用件だけすますと別れなければならない時が多いので、差し向いでゆっくり話し合ったことは少ないという訳です。

千代之介 ほんとうにそうですね、たまには議論など斗わしてみたいですね、その暇がありませんね。

雷蔵 ときに千代之介さんは、もう正月映画にかかってるのですか。

千代之介 例の「鞍馬天狗」第一話『白馬の密使』を上げたばかりの所で、次はオール・スタアの『任侠清水港』で、小松村の七五郎に出ます。それにこれもオール・スタアの『七つの誓』では、黒覆面という人物に扮して出演しています。正月作品は、大仏次郎先生の旧作『元禄美女桜』という作品に出演する予定です。

雷蔵 僕は昨日『続花頭巾』をあげて、ホッと一息で、すから『あばれ鳶』という作品に出ますよ。

千代之介 雷蔵さんは鳶の役は初めてでしょう。

雷蔵 そうですね、芝居の方でも、鳶の役は余りないから、やったことがなかったですよ。鳶の役は好きですね、今度役柄は小頭で、親分の頭の代理をする元気盛りの若い鳶の役だから、やっていても気持がいいでしょう。

千代之介 東映では錦之助さんは二度もやっているが、私の方へはお鉢が廻って来ませんが、僕もやってみたい役柄ですね。