千代之助 僕など初めから東映専属で、映画に入ってから他流試合をしたことがありませんが、年に一度くらい、雷蔵さんと一緒に共演してみたいものですね。

雷蔵 女優さんの方は、今でも時々交流しているようですが、その点僕等は損ですね、会社が中々許してくれないから−投影さんで『曽我兄弟』をやったのも、千代之介さんと錦之助さんがおられたから出来た企画だと思うんですが、作品に依っては、僕と千代之介さんを必要とするものもありますからね。そういう時は、二人が共演した方が、ぐっと効果があがるのだから、会社もうまく妥協して、僕らの交流もしてくれるといいのですがね−

千代之介 その機熟するのを待ちますね。ところで、雷蔵さんと僕、そして北上弥太郎さん、女優としては、大映の阿井美千子さんを幹事として発足した、映画俳優協会青年部の仕事も今年末で満期となって、来年からは新しい幹事(三社三人の男優幹事の外、女優側からも三社三人を選出することになった)に依って、運営されてゆくことになるのですが今日雷蔵さんとお会いしたのを幸いに、一寸悪いけど「映画ファン」の誌上を拝借して、僕らがやって来た、過去一年間に於る映画俳優青年部の業績を顧みてはどうでしょうか。

雷蔵 いいですね、京都の仲間は知っていますが、一般のファンの諸氏は、御存知ありませんから、今日の対談を利用して、ファンの皆さんにも、知って置いて頂きましょう。 今年の一月、京都の「大江戸」で発会式をあげて以来、何度か仲間の懇親会も開いていますし、八月の名古屋城再建基金援助の野球大会も、成功しました。裏千家のお茶会も有益でしたから、一応映画俳優協会青年部としての仕事は果していると思います。来年は、女優幹事の数もふえて、女優さんたちの発言権も多くなりますから、本年度以上の部の活躍が活発になると信じていますし、是非そうあって欲しいです。

千代之介 同感です。来年こそ、我々青年がもっともっと飛躍しなければならないと思いますね。

雷蔵 ほんとうにそうです。

本誌 御多忙中ありがとうございました。

(映画ファン57年1月号より)