●特別インタビュー

二枚目スターの結婚問題はとかく噂を呼びむずかしいといわれているが・・・!?

 中村錦之助と有馬稲子の婚約ニュースが、いま街の話題をさらっているが、このニュースがS紙の突然の報道であっただけに、二枚目スターの結婚問題によせる世間の関心が急にクローズアップしてきた。

 特殊な立場にある二枚目スターだけに、その結婚問題は、ひとり錦之助の場合に限らず、いろいろとむずかしい要素をはらんでいるので、本誌では結婚コースへの次期ダークホースと目されている大映の二枚目スター市川雷蔵に、結婚問題についてのざっくばらんな意見を訊いてみた。

小さな神棚のある楽屋で

 「京都はどうや、物情騒然としてるやろ・・・」そういうと、カラカラと元気よく笑ったのが、市川雷蔵だった。

 映画界に入る時から一度は映画化したいと、心に願っていた「忠直卿行状記」が望みがかない、いまその人市川雷蔵は忠直の扮装姿で記者の目の前にいる。

 場所は大映京都撮影所の俳優部屋の一室、市川雷蔵の居室で、三面鏡のかたわらにシュールないけ花がおかれ、その上の壁には小さな神棚があってお札が祀られているといった、明るいがいかにも役者の部屋といった四畳半くらいの楽屋だ。

「忠直卿行状記」で熱演する雷蔵

 日頃からいいたいことをすべて口から放出し、なおそれで釈然と辺りをヘイゲイしているのが、市川雷蔵というスターで、人これを評して毒舌家ともいうが、それでいて邪気愛すべき明朗闊達な性格が、誰からも好感をもって迎えられている。「雷ちゃんは、全く得な人だ」というのが、映画界の中での市川雷蔵評で、すこぶる人気がいい。

 この人、時に二十九歳。そしてマスコミがこの人と芸の上でライバルと目す、東映の中村錦之助が二十七歳、そしてまたよき競争者の大川橋蔵が三十一歳、また肝胆相照らす東千代之介が三十四歳と、京都映画界はその人気といい、年齢といい、またそれぞれの撮影所内における二枚目スターぶりが艶を競うあたり、まことに華やかな時代劇の四銃士・・・といったところだ。