いま住んでいる家は今年の一月、嵯峨三智子さんから買った僕の唯一の財産ですが、山田五十鈴さんも住んだことがあって、ナカナカ由緒ある家です。さてこの木造二階建の家の二階二部屋を改造し、僕の部屋としたのですが、一部屋を日本間に、一部屋を洋間にしました。

 元来、僕は日本趣味で、青い畳のうえで浴衣をきてねころぶなんていうのが大好きな性質ですので、寝室を兼ねた和室の方は充分に改造したわけです。でも調度などはごくありふれたもので、洋服ダンスにしろ、本箱にしろ、机にしろ皆さんが使っているものと決して変りはありません。

 一方、洋間は応接室を兼ねていて、セットをおき友達などはここへあげて、それこそマージャンなどして遊ぶのですが、この部屋の特徴は大きな全身大の立鏡のあることで、踊りの練習などには十分活用できます。三方に窓があるので、夜はかすんで街の灯もみえ、朝おきるとこの窓をあけ放して、よい空気を吸いながら、鼻唄まじりに洋服にきがえるのです。

京都市上京区大将軍西町三