「恋愛に関して・・・」

 「理想の女性はどんな型?」

 「いつごろ結婚するや?」

 最近インタビューの度に、この種の質問が大へん多くなったようです。「全然左様なることに関心を有せず」なんてご返事すれば、「市川雷蔵はヘンなのじゃないか」なんてウタガイを持たれるオソレもありましょうし、と云って「関心大いにあり、理想の女性は、これこれしかじか、結婚の時期は・・・」なんて回答をすれば、噂は燎原の火の如くに拡がり、何時の間にやら、理想の女性が、実在の人物となり、“結婚間近”ということにもなりかねないので、この種の質問にはウッカリしたことは云えません。

 こんな質問が多くなったということは、僕が年頃?になったせいかなナ、とも考えています。当年とって二十六歳、いや、結婚は、まだまだ早い年頃でしょう。木石じゃないんですから、人並みに“関心”は持っています。でも、現在のところ、恋愛に対する関心よりも、映画という仕事に対する関心の方が、僕の生活の殆んどを占めているんですから、ご質問のご期待には、まことに残念ながら添えないという次第なのです。

 現在の鳴滝の我が家には、マネージャーの森本さんと二人の書生さん、それに女中さん二人と、合せて六人が住んでいます。仕事がたまに早く上ると、見たい映画があれば、街に出ていきますが、それ以外は、我が家に直行してテレビを見たり、読書をしたりナイターなどがある時は、まことにタノシイ一夕を過します。

 お酒の方はさっぱりなので、飲める人のように、一汗流したあと、よく冷えたビールを一パイなんて、夏の宵の千金の価を賞味出来ませんが、一風呂浴びて、青ダタミの上にゴロリと横になれば、涼風フトコロに入りて結構タノシミあり、というところです。ことに、わがごひいきとする巨人軍のナイターともなればタノシミも格別、大いに声援を送り、時の経つのを忘れます。