お化けの好きなチャンバラ★スタア

夕涼み座談会

揃いのゆかたで勢ぞろい、仲よし時代劇スタアの夕涼み・・・

山の端に夕日がおちて、町並が影絵のような情緒をうつす京の宵。

「久しぶりだねえ」とはずむ話も、幼い日の夏の思い出・・・

着ながしのゆかたの肌ざわりに、気軽なお喋り、楽しいひととき。

賀茂の川風がそよと吹いて、蚊やりのけむりも静かにくゆります。

☆和製ブリンナーはこわいこわい

千代之介 雷蔵さんにリイちゃん(北上さんのこと)おそいね。

錦之助 撮影が忙しいのか、それとも遊びかな、もう来る頃だろう。

橋蔵 怪我人が来てるっていうのにね。(と、怪我した右手を見ながら)

里見 すじを切っちゃったんですってねえ、もういいんですか?

橋蔵 もう大丈夫、あまり強く物を持つことは出来ないけど、今月一ぱい休めば絶対。

賀津雄 すべって転んだんですって。

橋蔵 そう、落ちてたコップのかけらに手をついちゃってね。

錦之助 はじめ聞いたときは、どんなひどい怪我をしたのかと思って心配しちゃったけど・・・

千代之介 でも、そのくらいって云っちゃへんだけど、早く直ってよかったなあ。

橋蔵 ほんとうに、会社やみなさんに、心配やら、めいわくかけちゃって・・・。

(北上弥太郎さん出席)

弥太郎 どうもお待たせしまして、まだ集ってないやろうと・・・。

錦之助 思わなかった、そんな人じゃないよ。(笑)何んか理由が。

千代之介 (ふざけて)白状しろいか。(笑)

弥太郎 弓をやってたんだよ。円山公園の矢場で。

橋蔵 ヤにこってるね。(笑)

賀津雄 家にも矢場があるから、一度やりましょうか?お手合せを。

弥太郎 野球じゃ東映さんに負けたけど・・・。

錦之助 やらない方がいいよ、どうせ勝負はわかってるもの。

弥太郎 そりゃそうや、勝負は僕のもんやから。

錦之助 おや、強気だね、そんなら、いっちょ、やたろうか。(笑)

(雷蔵さん出席、坊主頭をなでながら)

雷蔵 やあ、こんばんわ、ヌキロケ(夕食抜きで、六時まで仕事のこと)やったもんでね。(みんな雷蔵さんの坊主頭を見ながら)

錦之助 ここは大人の席だよ、坊やはおとなり。(笑)

千代之介 なんか悪いことしたんじゃないか?

弥太郎 よく改心してくれた。(笑)それで今までの悪事をザンゲしたと思ったら、まちがいやぜ(笑)

雷蔵 おおきに、でも、リイちゃんみたいにザンゲするほど悪るいことしてませんからね、ザンゲしようがありません。

弥太郎 ほんまかいな。ウソと坊主の頭は結ったことがないいって云うけど、雷さん、坊主頭になったんで、ウソもうまくなったんじゃあらへんか。(笑)

橋蔵 さしずめ和製ブリンナーっていうところだね、昔なら出征兵士だ。(笑)外地へ行ったら飲み物、食べ物に気をつけて、御国のために。(笑)

雷蔵 なんや、来るそうそう、みんな子供の時は、こういう頭やないか。

賀津雄 そうだよねえ雷蔵さん。でも怒ってはいけません、名僧知識だもの。(笑)

里見 でもあぶないですよ、火をつけるから(笑)(註=雷蔵さんは三島由紀夫原作の「炎上」(“金閣寺”の映画化)を撮影中で、金閣寺に火をつける坊主の役をやります。そのため坊主にしました。)

錦之助 マッチはしまっとけよ。(笑)

雷蔵 (みんなを見ながら)火災保険には入ってるやろな。(笑)

千代之介 あぶないぞ、目付が変ってきた。(笑)

弥太郎 ヨシオちゃん(雷蔵さんのこと)あとで一ぱいやろやないか、ぼくんとこまだ火災保険入ってませんのや。(笑)

橋蔵 ヤミ取引はずるいよ、北上君が悪口の張本人なんだから、やっぱり覚悟しなきゃあ、こっちは宿屋住いで、自分の家じゃないから、安心だけど。(笑)

雷蔵 家を建てるまで待つか。(笑)

橋蔵 そんなに待たれちゃ、かなわないね。まだ土地も決ってないんだから。

千代之介 火をつけても、それじゃトチるよ。(笑)