千代之介 橋蔵さんのコンニャクじゃないけど、いろいろ考えてね、おふくろのカモジを持ち出して、ザンバラ髪にしてね、その上にオカマをかぶってね、きたなっていうと、あいずに、オカマを“コーン”とたたくんだ、オカマがゆれてね、下からザンバラ髪で「ウラメシヤー」(笑)

錦之助 コッてるね、その頃から俳優になる素質があったんだね。(笑)

弥太郎 おふくろさんは困ったやろうな、そのカモジを使おうと思って、鏡をのぞいたら、お化けがうつったって。(笑)

千代之介 どうしてカモジがなくなるんだろうって、よくおふくろがさがしてたよ。それとラジオのコイルね、あれをほどいて、クモノ巣を作ってね、歩いてくるのをひっかけるんだ。

錦之助 ひでえなあ、千代ちゃんみたいな子供がいたら、家の道具はみんなこわされちゃう。(笑)よく破産しなかったもんだ。

里見 ぼくもお化けごっこじゃないんですけど、ドキョウだめしはやりましたよ。子供のとき、そかいしてた田舎で、お墓においてあるものを取って来るんですが、上級生が本当に行くかどうかと思って、そーっと後からついて来るんですよ。そんなことしらないでしょう、おっかなびっくり歩いていくと、突然うしろから「邦俊!」なんて名を呼ばれると、びっくりしますね。

錦之助 それはびっくりするよ。大体ぼくはおくびょうだからね、そういうことはしないんだけど、友だちと多摩川へ遊びに行った時に、ちょうどどこかの小学校の子供たちが、ドキョウだめしをやってたんだね。先生がお化けになって、そこへ入り込んじゃったんだよ。(笑)こっちはそんなこと知らないから、すいすい歩いていくだろう。いきなり「ホホホホホ」なんて変な声を出して現れやがってね。(笑)おどろいたのなんのって、一緒に行った友だちがね、「このやろう!」てんで、その先生をなぐっちゃった。(笑)

賀津雄 お化けの方がおどろいたね、それは。(笑)

錦之助 正当防衛だよ、こっちは気のやさしいおとなしい男なんだから。(笑)お化けごっこなんかしたことないもの・・・。

賀津雄 あんなこと云ってらあ、北海道へ行ったとき、やったくせに。

雷蔵 そやろう、そんなおとなしい男やないわ。(笑)そんなことせえへんのは僕だけや。

錦之助 北海道か、あれは賀津雄がはじめたんだよ。こっちは人がいいから、ついつられて一緒にやっちゃったんだ。(笑)

賀津雄 去年の夏の北海道興行のときですけどね。出番が終ってから、ひまでしょうがないから、メーキャップして遊んでたんですよ。

錦之助 賀津雄のやつ、眼をつぶしてお岩みたいにしてね、青くアザを作っちゃってさ。

賀津雄 錦ニイは、ホッペタに眼を作ってね。髪をバラバラにして。

錦之助 面白いからおどかしちゃえ、ってんでさ、一人ずつ人を呼ぶんだ。電気を暗くしといて、おどろいたね・・・、これは腰をぬかしそうになったりね。

賀津雄 それで面白いからもっとやっちゃおうって、トイレの所で待伏せしてね、出てくるところを「アーアー」なんて。

錦之助 本当にびっくりしたらしい、これは。真剣な顔をして「やめて下さい」(笑)って云われたもの。(笑)