さあ「信長」で競演だ!!

錦之助 ぼくも頑張るぞ、良雄ちゃん、いま撮ってるのは?

雷蔵 “蛇姫様”、嵯峨ちゃんと一緒のが終って、いま「若き日の信長」に入ってるんやけど、錦ちゃんの信長が前にあるからね、しっかりやらんと(笑)錦ちゃんもまた「信長」やるんやろ?

錦之助 去年撮る予定がのびてね、五月頃に入る予定なんだ。

雷蔵 ぼくの方の信長は大仏先生のやけど、錦ちゃんのはやはり前と同じ山岡先生?

錦之助 そう。

雷蔵 錦ちゃんは“信長”でよごれ役というのかな、荒々しい感じを出して、あの仕事からぐっと幅が出てきたし、芝居もうまくなったし、ぼくも大いに張り切らなくちゃならないね。野球じゃ負けたけど、仕事の上じゃ、そうかんたんに負けるわけにはいかんからね。(笑)

錦之助 ファイトの問題だね。こっちも負けられないよ、仕事第一だ。ところでそろそろシーズンだけど、練習はしてる?

雷蔵 まだや、何しろここんところいそがしくてね、錦ちゃんはやってるの?

錦之助 やってるやってる、閑さえあればね。野球がぼくの健康法だし、ふだんの訓練、勝利への近道だからね。

雷蔵 ほんとに好きやね、錦ちゃんは、野球選手になればよかったんや。

錦之助 そうなんだよ、まちがえたかな(笑)

雷蔵 すぐその気になる(笑)それがわるいくせや(笑)一ぺん、きたえてやらんとあかんな。

錦之助 きたえる?

雷蔵 千本ノックで・・・(笑)

錦之助 それはこっちの云うことだよ。勝利チームの主将に向ってなんたることを(笑)まあ一度勝ってみてからきたえていただきましょうか(笑)

雷蔵 勝負は時の運やからね、まあ、今度はウチの勝やろ、まあせいぜい練習しといてな(笑)

錦之助 そういうことはね。

雷蔵 うん、なんや・・・

錦之助 (雷蔵さんの肩をパンとたたきながら)勝ってから云うの。(と、逃げ出そうとする)

雷蔵 こらっ(と、錦ちゃんの手をつねる)

錦之助 タンマ(笑)タンマ、いい子だなあ(笑)対談しているんだろ。

雷蔵 そや、暴力はだめだ。紳士的にいきましょ。

錦之助 紳士てきにか。

雷蔵 そうや、ところで錦之助君(と気取って)キミもそろそろやな。

錦之助 なんだい、急に気どって変な声を出したりしてサ、何が、ソロソロなんだい?