時代劇スターで初めてのブルー・リボン主演男優賞、そして多くの人達の反対をおし切っての現代劇出演『炎上』がどの賞にも対象になったこと等、ファンの方々は自然顔もほころび、嬉しさがこみ上げて来ることでしょう。ファンの皆さんが喜んで下さると同様、雷蔵さんもどんなに嬉しいことでしょう。一寸その感想を聞かせていただきましょう。

 

 新春早々より、私の演技に対して幾つかの賞をいただくことになり、私はまず言葉に表せない程の嬉しさを感ずると同時に、今後の俳優生活のきびしさを、ひとしお痛感次第です。

 聞くところによれば、いずれも、賞の対象は『炎上』と『弁天小僧』ということになっているそうですが、私にとって『炎上』は特に印象深いものがあります。それは賞を頂いた嬉しさもさることながら、この映画をつくるに当って、傾けた演技以前のひたむきな情熱が、ついにここに花咲き実を結んだという意味で、何にも増しての感激なのです。

 まだ日は浅いものではありますが、私のこれまでの俳優生活の中で、これほど心中快しとしたことはまだありません。この感激、この気持を深く心の底に銘じて、今後もいよいよ情熱とファインとを燃やし続けて行きたいと思います。

 どうか皆さまも、この上とも変らぬ御声援を賜りますようお願い致します。

市川 雷蔵