戦後の日本の、のびる道はスポーツと文化だということを、なにかの本で読んだことがある。まったくスポーツ熱はさかんになったねェ。とくに五年後には東京でオリンピックも開かれるし、スポーツはますます僕らときりはなせなくなった。

 そのスポーツのなかでも野球は人気の最たるもんだな。懸命にプレーする野球は男性的で気持がいいよ。ぼかァ、暇があるとテレビにかじりついて実況を楽しむんだ。

 ぼかァ、阪神のファンでね。阪神が負けたときなんぞメシがまずいんだ。一日ごけげんが悪いんだ。そういうときは、オイ、気イつけろ。ぼかァねェ、みるだけじゃないんだ。これでなかなかプレーヤーとしての素質ももっている。自画自賛がちょっとおもはゆいんだけど、僕の成績がそれを証明している。笑うなよ、なにがおかしい、ほんとうなんだぜ。だから“雷蔵チーム”ももっている。ちょっとした球団のオーナーでもあるのさ。

 役者にならなかったら、きっと野球の選手になってたろうよ。こりゃ、ちょっとオーバーないいかただな。