聞きたい雷さまの結婚

鎌田 御自分の映画は見られますか。

雷蔵 外では見ませんね、試写室で見るから。

永井 皆の中で自分の映画を見ているって気持はいかがですか。

霜中 試写室とは違って回りの反響もじかに分るでしょうね。

雷蔵 ええ、そうです。この反響を変に気にする人もあるけど、ボクはあまり気にするといかんと思う。そうすると次のときにそういうことを気にして芝居をするからね、こういうようなことをしたとき、お客さんたちは笑ったとか喜んだとか、このところで泣いたからこういうふうにしてやれという意識が先に立つから、純粋性が失われるね。

永井 そういう人とは行き方が違うンですね。でも、外へ出られるとすぐに見つかるでしょうね、映画館のような暗いところでも。

雷蔵 さア、どうかしらん。(考える)(不思議そうに)普通のメガネかけてこのままだよ。

霜中 色眼鏡もせずマスクもかけず?

雷蔵 別に隠れていくこともないからネ。(笑)

永井 河村さんさっきから何も話さないじゃない。せっかく兵庫県からいらっしたのに。

雷蔵 ほんとうはそうじゃなくていろいろ聞きたいことあるンだろう?チャンと分ってるよ。帰ってからのファンレターがまた来るんだ。

河村 (赤くなってうつむく)

雷蔵 そういう人に限って手紙の方ではメンメンとね。(笑)手紙は書きいいらしいね。お互いに話した方がはっきり分るンだけどね、ほんとうは。

鎌田 こんな機会はもう一生ないかもしれないのよ。

雷蔵 (少しじれったそうに)ほんとう。どうしてチャンスを有効に活かさないのでしょうね。

河村 あんまりプライベートなことなので・・・

雷蔵 ナーニ、ネ、ナンの話し?(声をひそめ、河村さんをのぞき込みながら)オヨメさんのことかな。(笑)

永井、鎌田 (顔を見合わせて)ねエ、それはやっぱりききたいわ、一番・・・。(笑)

河村 ええ。

雷蔵 あなたがおヨメさんになりたいの?

霜中 (真っ赤になって)そんな厚かましいことを申しませんワ。(笑)ただ女性としてどんな人を・・・。

雷蔵 奥サンになられる方はどんな方か、ということやね。(笑)それはやっぱり「私の選んだ人を見てください」(爆笑)清宮さんの言葉を借りてこの答えにしましょう。

永井 ウァーッ、見事に逃げられちゃったわね。(笑)