時代劇の新スター 市川雷蔵のプロフィル

 性質はたいへん無邪気で、錦之助さんがまだ映画に出ていなかったころなんか、上京するたびに錦之助さん兄弟の家に泊まって、若い連中ばかりで夜おそくまで、ワイワイキャーキャーと、子供みたいにはしゃいで騒ぎまくっていたくらいです。会うと、ニコニコと笑う顔が、いかにも天真爛漫です。これは、人のいい実父九団次の愛撫を受け、いまはこれまたカブキ界きっての好人物といわれる寿海夫婦にかわいがられて、順調にオットリと育ったおかげでしょう。映画界で他人のメシを食うことが、きっといい体験になるに違いありません。

 だけど、「カブキ捨てる意志は毛頭ありません。」といっているように、これからも扇雀さんと同じように、映画と舞台の両方で勉強してゆくそうです。

 

 この人形は私にとてもよく似てるでしょ。お話にあるように、妖艶な千姫じゃなくて、かわいらしく、純情そうにできているので、なおさら大好き。いま、いちばんうれしいことは私が出演した映画『羅生門』があちらで評判のいいことですが、やはり、こういう、きんらんの豪華な衣装が、色彩によく出たからでしょうネ。(人形・村椿実枝子作)

 

 

 

 

 

(主婦と生活55年3月号より)