夢は共演作品

 橋いわせると「食べ物でも不思議に好みがいっしょ。ただ、雷蔵さんは鳥が好きなのに僕は大嫌いだけ・・・」だそうで、パクつきながら共演に話の花が咲く。いま共演の候補に上っているのは、雷蔵のデビュー作『花の白虎隊』によく似たもので、雷蔵の隊長に橋が副隊長。

 「もし実現しなくても『沓掛時次郎』のときのように、唄の応援など、どしどしやりたい」と橋は雷蔵の友情にこたえるにはこれしかないといった表情。趣味でも彼は雷蔵に一歩近づきモーターボート“スキッパー・クラブ”の会員になった。そのレースが来月行なわれるが「雷蔵さんとペアーで出場の約束が、舞台の都合でダメになった」とまったくすまなそう。

 橋はいま、五本目の映画、それも初の主演もの『磯節源太』に出演中だが、『水戸黄門海を渡る』に出演の雷蔵は、セットの合間に駆けつけ、寄り添うようにして橋のズラのつけ方などに細かい注意を与えている。

 橋のマネージャー役である兄の和男さんの存在が薄く見えるほど、そうした時の二人は、ピタリと息が合っている。ゆがんだ視線が、はいり込めないほどに・・・。

(61年8月1日発行)