☆人を斬るのはいい気もち

柳太朗 雷蔵さん「新平家物語」では苦労したでしょう?

雷蔵 僕の清盛の感じが乳くさいといわれたんですね。あのころの武士は筋骨隆々で、きっとプロレスの力道山みたいな体格だったろうと思うんです。そこで、もっと精悍な強いという感じを出すために、メーキャップもどんどん直して、僕の裸の写真を前からもうしろからもとって、柔道四段の人の体と比べてみて、僕の筋肉の足らないところへ綿やゴムをシャツに縫いつけて着たんです。

ボクの裸を、前からもうしろからも写真にとってね。柔道四段の人の体とくらべてね

柳太朗 みなさん、デビュー(初出演)の感想はどうでしたか。たとえば、おれはもっと好い男だと思っていたのに、案外よくなかったとかね。(笑)映画は便利なものだな。自分の背中がみえるワイと思ったのが、当時新国劇の舞台から映画入りした、僕の率直な感想だったんですがね。(笑)

扇太郎 正直なところ、初めてのときなんか、こわくて、スクリーンの自分がみられないんです。(笑)まして演技なんて、無我夢中です。(笑)監督さんに叱られて、何十本もN・G(とりそこない)を出して泣きだしたくなったり・・・(爆笑)

新太郎 N・Gっておもしろいですね。もうこれで四回目だ、自分のいいにくいセリフのところへきた、舌が廻らないとこへきた、と思うと、かえって舌を噛んじゃう。(笑)

柳太朗 時代劇と立ち廻りは、ご飯とおかずみたいなもので、絶対ひ必要なんですが、みなさんどうですか?好きですか?

「えい」と斬ったら!

扇太郎 ぼくはたのしいですね。やっぱり人を斬るというのは、いい気もちですね。(笑)

錦之助 斬られる人には気の毒ですけどね。さっぱりしますよ。(笑)

橋蔵 僕も立ち廻りは好きだな。刀を差して、抜かしてくれたら、僕はなんにもいらない。(笑)