☆さて理想の花嫁は?
新太郎 仲よしでも、ラヴシーンだとテレちゃうね。
錦之助 でも、昔のひと、実際にあんなラヴシーンしたでしょうかね。
雷蔵 大きな髷とか、衣裳とかずいぶん邪魔になるでしょう?抱こうと思っても、刀がつかえて邪魔でしょうしね。(笑)
柳太朗 こんな役をやってみたいっていうのありますか?
扇太郎 僕はいつも、二十二、三の役なんですが、できれば十七、八の焼くがいいですね。前髪の強い役。(笑)
橋蔵 僕はどんな主役でも、悪役は嫌いですね。(笑)正義の役がいいですね。(笑)
「悪役は、どんなに主役でもいやですね。ボクは、絶対正義の役がいい」とはりきる橋蔵さん。
新太郎 「理由なき反抗」のようなものが、時代劇でできればやりたいですね。現代劇にもずいぶん魅力をかんじてるんです。
錦之助 やくざ物でも武士物でも、リアル(真実)で明るいものをやりたいですね。
橋蔵 僕もやくざ物がやりたいな。やくざといっても、いろいろ注文はあるんですが・・・
千代之介 正義のやくざね。(笑)
橋蔵 そう、そうなんですよ。そして哀愁とユーモアがあって。
柳太朗 惚れていながら、惚れないそぶり、というようなの。
「怪傑黒頭巾・新撰組追撃」の大友柳太朗さん
新太郎 そして最後に流行歌が入るというわけだな。「達者でお暮らしなせいよ」とかいってね。(爆笑)
橋蔵 もっぱら正義です。人間が正義だから。
柳太朗 外国の俳優さんで好きな人はどんなひと?
錦之助 グレイス・ケリィなんか好きだったんだけど・・・
グレイス・ケリィが好きだった
新太郎 お嫁にいっちゃったからね。がっかりしちゃったよ。(爆笑)「裏窓」みたとき、こんな女性がいたらと思った。よかったなあ。(笑)
「月を斬る影法師」で神出鬼没の正義の士を演じた新太郎さん
雷蔵 僕はロッサナ・ボデスタ。(註:イタリア女優「トロイのヘレン」「黄金の七人」等に出演。夫はアルピニストのワルテル・ボナッティー。語学が堪能で夫の活動の手助けをした。)
新太郎 ブロマイドみては、溜息ついてるんだ。(笑)
橋蔵 僕が飾っているブロマイドは四人。すごいのばかりなんです。モンロウ、ロロブリジーダ、ソフィア・ローレン、エリザベス・テイラー。(爆笑)
柳太朗 これは肉体派ですな。
橋蔵 そのひとの生活がしのばれる?(爆笑)
柳太朗 みなさんの、理想の女性と結婚観について、きかせてくださいよ。勝さん。(笑)
みなさんの理想の女性と結婚観を伺いたいですね
新太郎 最初に勝さんだなんていやですよ。(爆笑)結婚のほうは、東さんが一番おちついているから、どうぞ。(笑)
千代之介 いやいや、ご遠慮なく。(笑)僕は、見合い結婚でもいいと思ってるんですよ。結婚してから恋愛するから。(笑)
雷蔵 自分では、おぼろげながら、こういう女性をと想像してますね。まぼろしの如く。(笑)そんなひとにめぐりあったとき、結婚するんでしょうね。(笑)
自分では、ひそかにこういう人をと理想の女性を夢みていますがね
扇太郎 そういういいかたはずるいな。
錦之助 そういう扇ちゃんは?
扇太郎 僕なんか、まだまだ・・・
雷蔵 なんて、子供っぽいこといってるけど、あやしいもんだぞ。(爆笑)いまペロリと舌を出したもの。(爆笑)
橋蔵 僕の結婚の相手は・・・
新太郎 わかってるよ。正義の女性だろう。(爆笑)
橋蔵 それは別ですけど、実は結婚するはずのひとがいたんです。
雷蔵 それは初耳だ。そしてどうなったの?
橋蔵 もちろん、ちゃんと披露もしましたし、世間でも知ってることなんです。映画界入りの前ですが、日取りをきめるところまでいったのですが、先方が病弱になって、いろいろ事情もあったらしいんですね。先方の都合で白紙になったんです。
雷蔵 今でもその人を愛しているの?
橋蔵 そういうことは別にして、だから、結婚というのは縁だと、痛切に思いました。
扇太郎 そういう事になると、なるべくいい縁にありつきたいもんだなあ(笑)
柳太朗 それは実感でしょうね。では、みなさんに理想の女性があらわれることをねがって、これで終わりにしましょう。
(「明星」56年8月号より)