子どもだけ欲しいの

対談の席上へ、可愛い珍客・雷蔵の愛嬢尚江ちゃんが

現われて人気を独占。雪路お姉さまも大よろこび

朝丘 この間は、川口(松太郎)先生に「お前は両立させていけないのか、それじゃ結婚なんかやめろ」なんて、言われちゃった。・・・だいたい男の人って、結婚すれば、奥さんに家にいてほしいんでしょう?

市川 ふつうは、そうやろうね。

朝丘 (ひとりごとみたいに)来年一年かかって、一生懸命探します。

市川 きっと、ムダやろう。(笑) 

朝丘 だから、いい人が見つかったら紹介してほしいの。・・・それともお見合いしようかな。お見合いでも、相手の人が好きになったらいいでしょ。ただ私は、どちらかといえば、私よりも相手の人がよけい愛してくれるようなところへ行きたい。(つぶやくように)あとは尊敬できる人がいいわ。

市川 そのほうが幸せだと思うな。

朝丘 一生暮らしている中には、イヤなことがありますよね。そんなときでも、好きな人ならガマンできる。とにかく無責任な結婚だけはしたくないわ。

市川 世間には、なんとなく、フワーッと結婚する人もあるけどね。

朝丘 でお一緒になってから、すごく好きになるのが、ほんとうの幸せかもしれませんね。

市川 夫婦ってものは、口先だけで愛情、愛情といっても、ダメですよ。

朝丘 つまり、結婚してからのお互いの努力でしょうね。

市川 そう。愛情さけによりかかっていると破局が訪れるということですね。あたしは信じていたのに・・・なんていってみても、努力しなければダメですよ。

朝丘 そうでしょうね、きっと。雷蔵さんは、結婚なさって何年?

市川 再来年が結婚五周年。

朝丘 早いですね、二児のパパだし。それまでに、もう一人ぐらい生れるかもしれないわね。あたしも子どもが大好きなんです。結婚しなくても、子どもだけは欲しいわァ。

市川 これもむずかしい注文だな。(笑)

(週刊明星65年11月28日号より)