緊張すると笑う

 こういう仕事をしていると、やはりワンマンになってくる、そのワンマンもなおそうと思わないし、また、玉緒ちゃんもなおしてほしいといわない。それをいいことにして(笑)

市川 男というのは、みんなそうなんと違うか、一般的にいって。家庭的に考えても妻を中心に考えないからね。夫というものを第一に考えて家庭というものを考えるでしょう。女の方からいわせればワンマンということになる。

 雷ちゃん結婚式のとき笑わなかった?

市川 うん。

 おれは厳粛なところでとうとう笑っちゃった、アッハッハッとね。どうしようもない。そしたら、みんながワアーッと笑った。ゲラゲラ笑がとまらないから、おれはハンカチで顔かくしてしまった。社長を見るとにらんで笑っているんだ(笑)それでよけいにおかしくなった。

市川 ああいう厳粛なところでおかしいことがあると笑うよ。どうしてまた、おかしくなったの?

 式場へ入る前にエレベーターを部屋と間違えて・・・そのへんからおかしくなった。中に鏡があって部屋のように広いエレベーターなんだよ。よほどあがっていたらしい。そして、エレベーターが開いたら、すぐ式場の前なんだ。急に厳粛なところへぶつかったもんだから、どうにもならない。おれの兄貴も笑うし、おやじもお母さんも、向うの親戚の長谷川さんから全部ゲラゲラ笑っちゃった。神主さんを見ると神主さんだけが笑わない。それを見たらまたおかしくなった。そこへうちのおやじと鴈治郎さんの紹介の仕方がまたおかしいんだ。

市川 あれは新郎側は新郎のおやじが、新婦側は新婦の父親が来ひとりひとりの名前をいわなきゃならないんだね。おぼえておかなあいかんね。二十年、三十年したらもう、様子が変ってしまうだろうけどね・・・。

 結局、おれたちの子供には、二人でどこかで結婚式をあげさせるのが一番いいよ。

市川 式というのは、本当に二人のためのものじゃないんだね。親なり家の一つの面目みたいなもので、二人はちっとも楽しくもないし、つらいばかりで・・・。