ご存じ白浪五人男大いに語る

=時代劇スタア座談会=

◇二十八人衆じゃかなわない

錦之助 すごい!すごい!

橋蔵 派手だねえ!

千代之介 親分はどうしたの?

扇太郎 親分って誰です。

千代之介 たよりないね、この人。(笑)

橋蔵 この五人男の張本人、日本駄右衛門、雷蔵さんのことじゃないか。

錦之助 乾分がみんな集っているっていうのに、だらしのない親分だな。(笑)

扇太郎 あっ!きたきた、きらしいよ。

雷蔵 おそうなって・・・うわーなんや大袈裟やなあ。

錦之助 おそいぞ、おそいぞ!

雷蔵 だからあやまったやないか、うるさい弁天やな。(笑)すぐくるつもりだったんやけど、考えてみたら、僕以外はみんな東映やろ、心細うなってしもた(笑)

千代之介 なんだ、そんな親分じゃこっちが心細いうよ。(笑)

雷蔵 とにかくこれで勢ぞろいや、それでは新年・・・

一同 (芝居気どりで)おめでとうございます。

橋蔵 それはそうと、この衣裳ずいぶん温かいね。

扇太郎 これは綿入れでしょう。

雷蔵 綿は裾と袖にだけやで。

錦之助 この姿で京都の街へくり出したら愉快だろうね。(笑)

橋蔵 おどろくだろうねえ。

千代之介 どこのチンドン屋かと思うよ。(笑)

雷蔵 ぞろぞろ揃って、じゃんじゃん呑んで、勘定は錦ちゃんにまわすわ。(笑)

錦之助 いやだよ、そんなの(笑)

橋蔵 浜松屋の場よろしく、知らざあいってとやりゃあいい。(笑)

扇太郎 今どき、そんなことしたら百十番に電話されて、パトロールカーが飛んでくるよ。(笑)

千代之介 話がドライだね、とても芝居にはならないね。(笑)

橋蔵 勢ぞろいっていえば『任侠東海道』の次郎長一家はすごかったね。

錦之助 すごいの、すごくないのって・・・。

雷蔵 どっちや。(笑)

錦之助 すごいんだよ。(笑)

扇太郎 軍歌うたってね。(笑)

橋蔵 そうそう。

千代之介 (笑いながら)あれには笑ったな。

錦之助 それはね、清水一家二十八人衆が街道をいくシーンの撮影のとき、夜間の強行でみんなへばってきたんだ。それで悪いのが相談してね“勝ってくるぞと勇ましく”と歌いながら縞のカッパに三度笠の大行進をやったのさ。(笑)

雷蔵 なんやメチャメチャやな。(笑)

千代之介 スタッフの人はおどろいてたね。

雷蔵 うちでも長谷川一夫先生や勝新太郎さんなんかで「遊侠五人男」ちゅのを撮ってるんや。

錦之助 よし、そんならみんなで殴りこみをかけようか。(笑)

雷蔵 いくら僕が強くても、二十八人衆でこられた敵わんな(笑)

錦之助 五人じゃ野球もできないじゃあないの、せめて『遊侠九人男』とでもすりゃあいいのに。(笑)