京都は1200年を越える古都であると同時に、日本で最初、というのをたくさん持っているハイカラの街です。

そのひとつが日本初の電車である“チンチン電車” つまり路面電車です。

残念なことに、20年以上も前に廃止されてしまったのですが、その“チンチン電車”を走らせるために

日本で最初の水力発電所が建設されたのが、ここ京都なのです。

 

その水力発電所は今も残っているどころか・・・

古式ゆかしいレンガ造りで、ささやかながら、ちゃんと機能しているのです。

 

雷蔵さんが、その古式ゆかしいレンガ造りの水力発電所(蹴上のインクライン)を訪れたのは冬枯れの一日でした。

春になれば多くの人を集める桜並木も、今は裸木・・・

さてこの発電所を動かしている水は、京の屋根である比叡山をはるかに越える琵琶湖から、比叡山を抜けて、
はるばると曵いてきた運河に流れる水を使っています。
この運河こそが『琵琶湖疎水』であり、明治の昔に当時の貧弱な土木技術を気力でおぎないつつ、
信じられないような多くの人の多大な労力と、稀代の才能を持ったひとりの若者の努力によって、
京都市民のエネルギー源であり運河であり、上水道として生まれたものだったのです。