あつい夏の陽も西山にかくれて、しのびよる夕もやが京の街をかこむ峰々を静かにつつんで
美しいシルエットを描いています
ここは庭に水をひいた美しい京の家、撮影に忙しい市川雷蔵さんと嵯峨三智子さんが
久しぶりのお休みにのんびりとゆかたでくつろいでの夕涼みです
せせらぎに提灯の光もゆれて、美しいお二人をさらにあやしくひきたてるのでした

雷蔵 なにいうとる、人を悪人にしといてなにが乙女心や。(笑)

嵯峨 雷さんの坊主頭、早くみたいのものね。

雷蔵 坊主頭はさっぱりして夏向きやで、それにドモリなんや、主人公が、それでひまをみてはドモリ学校で研究しとるんや、内面的なものを出したい思うてね。

嵯峨 一世一代の名演技ネ。

雷蔵 ふざけなさんな、いつも悪口いうてる人が・・・。

嵯峨 ええやないの、いくたホメたって。

雷蔵 おおきに。ついでにミッちゃんも坊主になって『炎上』に出てくれたらええのに。

嵯峨 おおきに。気持だけ受けとくわ。どうぞおひとりで、坊主頭をエンジョイ(『炎上』をしゃれて)しておくれやす。(平凡58年8月号より)

水際から嵯峨さんの袖に飛びこんできたほたるをカゴに入れてゴキゲンなお二人です

 みなさんもこんな夕涼みはいかがですか