日曜日に会いましょう
映画監督もやりたい


市川雷蔵さん

 「映画なんか、体は楽なもんですよ。しかし映画は監督が支配する幅が大きいですからね。演劇は舞台に出ればある程度こちらの自由でのびのびできます。客の反応をパッと受け取れるから気持ちはいい。しかしそのため場当たりの芝居をしてしまうおそれが多分にあります。これは僕にはいけないことで」と映画人の自覚はかたい。

 「映画は監督が自分のものとしてつくるので『ぼんち』では時代の背景や一人一人の女を描くことに力が入っていましたが、こんどのは原作に近く、喜久治という男が浮きぼりにされています。やりよかったですね、僕としては」といい捨てて、舞台へ急ぐ。

 雷蔵は生意気で愛想がないという評判があるが、それが彼のすべてとはいい切れない。とにかく、余計な言葉はなに一ついわない。俳優のインタビューには珍しいことだ。“頭のいい現代的なぼんち”というのが彼のナマな印象である。