−昭和四十四年には大映でお仕事をされていますね。

 これはつぶれかけてた大映が、なんとか東映のノウハウを借りて生き延びようとしたころですよ。市川雷蔵さんの『博徒一代 血祭り不動』(監督・安田公義)からはじまって、安田道代さんの『関東おんな悪名』(監督・森一生)とか書いたんです。雷蔵さんが企画部に入ってきて、僕の本を目の前で読むんですよ。あれほど口跡のきれいな俳優さんもいない。非常にさわやかな、いい感じのひとだったですね。でも、あれが遺作になって、実に残念でした。

  96年12月 カタログハウス発行