時に人あり
長谷川一夫につづく人気スター
市川雷蔵(大映)
昨年、市川崑監督「炎上」で映画批評家をも感嘆せしめた演技がかわれて、ブルーリボン主演男優賞を獲得し、従来のチャンバラスターから一躍脚光を浴びるに至った。もちろん、二十九年『花の白虎隊』でデビュー以来、多くのファンにかこまれた人気スターには違いなかったが、芸術性をうんぬんする賞を獲得するには、ほど遠かったわけである。
東映の錦之助、橋蔵、東宝の扇雀などの梨園出身の若手好敵手たちより、雷蔵は一歩早く芸域を広めそして認められたわけである。
その後も一本立興行につれて、多くの大作に出演し、ブルーリボン二年目の活躍は目ざましいかぎりである。昭和六年京都生まれで今年二十八歳。