『安珍と清姫』

『切られ与三郎』

『大菩薩峠』

 

 
 昭和二十九年、『花の白虎隊』で、映画界デビューした市川雷蔵は、今や押しも押されぬ大映の看板スターとなった。故溝口健二監督のきびしい演技指導で、『新・平家物語』の清盛を演じ、これまでのいわゆる白塗りの二枚目から、演技者雷蔵として成長、さらに市川崑監督の『炎上』で初の現代劇に出演、見事数々の演技賞を獲得、スターとして一段と成長、飛躍した。

 セットの合間にも読書をする勉強熱心さに加えて、鋭い理解力を持つ雷蔵に期待するものは大きい。

 今、彼は、『大菩薩峠』(三隅研次監督)にとりくんでいる。今まで、たびたび映画化された大菩薩峠の机竜之助と全く違う点は、原作の竜之助と雷蔵の年令が同じであることだ。

 若き雷蔵の虚無の青年剣士、机竜之助をどう演ずるか期待したいものである。