春雨に柳がけむり、散る花びらがパラリと肩にかかる京の夕暮れ。相合傘の中で恋をささやく市川雷蔵さんの月形半平太と大川恵子さんの芸妓梅松は、ほんにお似合のアツアツコンビです。

 「雷さま、雨が・・・」 「カコちゃん、ぬれてゆこうよ」

 キンキラきれいな櫛かんざし、だらりの帯もあでやかな恵子ちゃんに、ニッコリ笑って寄りそうのは月と星の紋どころ。イキな着流しの雷蔵さん、思わずタメイキが出るようななやましい春のおぼろ夜です。