若いということ

 

 今年上映された私のレパートリーを振り返ってみると『人肌牡丹』 『遊太郎巷談』 『蛇姫様』などの娯楽物から始まって、『若き日の信長』 『ジャン有馬の襲撃』のシリアスな作品、『王者の剣』 『次郎長富士』といったオールスター映画。『お嬢吉三』 『濡れ髪三度笠』などの娯楽時代劇、さらにいま撮影中の『かげろう絵図』に続くものとしては、十一月上映予定の『薄桜記』、十二月の『浮かれ三度笠』(仮題)等々、色いろどりではあるが、この一年と区切って考えるとき、かねてから自他ともに期待していた『好色一代男』や『ぼんち』の撮影が翌年まわしになったことは、『炎上』『弁天小僧』などのあった昨年度に比べ、いささかさびしい気がしないでもない。

 そんな中にあって、新人田中徳三監督と一緒にやった『お嬢吉三』『濡れ髪三度笠』は、その作品的価値は別としても、若い者同士でお互いに議論しながら、本当に自分たちで作ったという気のする一連の作品は一つの大きい収穫だったと思う。

 若いうちでなければやれない、若さのあふれた映画、そういったものを特にいまのうちに作っておきたい。(大映スター)