大映京都宣伝部長  東路史郎

 近来映画界における市川雷蔵さんの人気の躍進ぶりは、その芸域の進境と共に、まことに目覚しいものがあり、われわれ宣伝にたずさわる者にとっても、欣快にたえません。

 日常生活における雷蔵さんも、明朗快活、しかも真面目な好青年で、その魅力ある人柄から推してもこうした雷蔵ブームの起っている事は、決して無理からぬものが痛感されます。

 今回、この雷蔵さんを激励し併せて、スター・ファン間相互の親睦をはかる市川雷蔵後援会が首都東京に於いて発会されると聞き、いよいよ心強い思いがいたします。

 ただこの上は、よく他のスター後援会にありがちな、浮草に流れないで、雷蔵さんの人柄通り、明るくそして堅実に、いよいよ今後発展して行かれる様、心からお祈りするばかりです。 

大映本社宣伝課長 人見武幸

 清盛に かみなりむくと 起きにけり

 これは雷蔵さんが『新・平家物語』の撮影前に上京したとき、原作者の吉川英治先生を熱海のお宅に二人で参上したとき、書斎で先生が雷蔵さんのために執筆して下さったもので、不思議に私の記憶に新しい。

 吉川先生の期待に、雷蔵さんはみごとに応えて、雷蔵開眼をなしとげ、雷蔵さんの歴史に新しい一頁を飾った。

 今年の春、『大阪物語』の撮影開始と同時に西下、吉村公三郎監督と深更まで語ったときのこと −

 雷蔵君って、いいね、僕は雷蔵君をつかって、太陽族映画を撮りたい、これは絶対だよ!

 そして、雷蔵さんのキャラクターについて絶賛したのを覚えている。昨年秋、旧後援会可美なり会の総会のときも、日曜日にもかかわらず、逗子から出て来て壇上から挨拶をしてくれるという後援ぶりに、私の方が感激したものである。

 そして『大阪物語』で初めて顔が合ったわけだが・・・

 『浮舟』を終って久々に雷蔵さんが上京した一日、たまたま市川崑監督と三人で会食し、語る機会ができた。

 会談二時間、市川監督はどうしても雷蔵主演のものを一本撮る決意をしたと私に語るほどのホレこみようだった。等々・・・雷蔵さんの断片を綴ると、賛辞の集積にほかならない。

 このたび、雷蔵後援会が新発足するという。新しい脱皮をこころみようとする雷蔵さんの前途を祝福し、成長を温かい眼でみまもってあげて下さい − 私は全国の雷蔵ファンに心からおねがいしたい。