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ごあいさつ

 日本映画発祥の地・京都で「時代劇」をつくり続けてきた私たちが、「歴史劇」という大きなテーマで、世界の映画をみていこうと立ち上げた京都ヒストリカ国際映画祭も、今年で8年目を迎えます。

  静かに、ときに激しく揺れ動く世界の歴史と、私たちはどのように向き合っていけばいいのか。映画の中にその答えがあるとは言いませんが、バラエティ豊かなラインナップは、多くの驚きと感動を生み出し、多彩なゲストとの交流が皆さんの興味をひきつけるものと確認しています。
深秋の京都にて、映画祭へのご来場を心よりお待ちしております。

京都ヒストリカ国際映画祭実行委員会
実行委員長 阿部 勉(株式会社松竹映像センター 代表取締役副社長)

開催概要

 阪東妻三郎が太秦の地に撮影所を開いて以来90年、積み上げられた時代劇=歴史映画の資産は莫大なものです。しかし、いささかカビくさい。内容がマンネリ化し年配向けだったイメージを超え、現在の“歴史エンターテイメント”としてアップデートする視点を、創り手と観客が共有する場が、京都ヒストリカ国際映画祭です。

 テロ・難民・英国のEU離脱・トランプ旋風。地域や民族のアイデンティティーを求める内向きの力が世界に頻出するなか、歴史映画も内向きと外向きに二極化しています。グローバル化の是非はともかく、映画にあっては内向きほどダメなものはありません。時代劇が全盛期から力を失っていったのも内向きが過ぎた故かもしれません。

 私たちは歴史映画の持つパワーを信じています。決して歴史に閉じこもることなく、感動と驚きを運ぶ奔流のような歴史映画を。日常とまるっきりかけ離れた舞台での物語に没入し、感動してしまう不思議さ。そのマジックを存分に愉しんで下さい。

京都ヒストリカ国際映画祭実行委員会
実行委員長 阿部 勉(株式会社松竹映像センター 代表取締役副社長)

 

第8回京都ヒストリカ国際映画祭(KYOTO CMEX 2016 公式イベント)

2016年11月2日(水)〜11月13日(日)

上映会場:京都文化博物館

忍者映画100年進化論−忍者エボリューション−

HISTORICA FOCUS/ヒストリカ フォーカス

公認:日本忍者協議会

 一つの視点から歴史映画を紹介するヒストリカ・フォーカスは、世界を魅了する忍者を特集します。無声映画・時代劇・アメコミ・エログロ・キッズ・コメディまで、止まることのない忍者エボリューション!

『忍びの者』

NINJA, A BAND OF ASSASSINS

11月11日(金)14:30〜

★トーク 川上仁一/立石邦博

社会派・山本薩夫が手がけた忍者もの! 小作人出身の忍者の宿命と悲哀を描く傑作

監 督:山本薩夫

出 演:市川雷蔵、藤村志保、伊藤雄之助

1962年作品/104分 モノクロ

あらすじ

 戦国末期、延暦寺や石山本願寺を攻撃した織田信長は、伊賀忍者たちの怒りを買った。忍者の中で勢力を二分する百地砦の三太夫と富士林長門守は、それぞれの配下に信長暗殺の密命を下した。

 三太夫は妻のイノネと五右衛門を密通させ不義を働いたとして妻を殺害、五右衛門に代償として信長暗殺を命じる。京に出た五右衛門は信長の命をねらうが…。

みどころ

 印もドロンも煙幕もない「忍者」のイメージはここに始まった。党派のお頭に忠誠を尽くし、技能でもって戦国武将に金で雇われる助っ人集団であり、平時は田畑に生きる百姓であり、ヒエラルキーに翻弄される勤め人として描かれた忍者たちは、高度成長期のサラリーマンのネガでもあった。

 その辛口が映画のリアリティを支える仕掛だが、忍者キャラクターには、リアルよりキャッチーな黒装束を選んだとろに山本薩夫監督の閃きが感じられる。色仕掛、なりすまし、といったのちの忍者映画を進化させるネタもここに見出される。本作に続く一連の”リアリズム”忍者映画や柴田錬三郎などの時代小説を呼ぶエポックとなった作品。

詳細は 第八回京都ヒストリカ国際映画祭