戦国期の忍者の活躍を描く大映の異色作『忍びの者』の撮影が快調に進められている。監督は独立プロの巨匠山本薩夫、主演の石川五右衛門は市川雷蔵。

 五右衛門といっても、講談などでおなじみの大泥棒ではない。九字を切ってドロンと消えるスーパーマンの忍術使いでもない。雷蔵五右衛門は、あくまで、当時としては最も科学的な方法で人の目をあざむいたり兵法としての忍術。当然、忍者にも人間的な感情の起伏がある。忍者の組織に対しての疑問も生じる。

 頭のテッペンから足の先まで、真ッ黒な忍び装束に身を固めた雷蔵は「組織に反抗して、人間的に生きようともがく若者の姿に共感をおぼえる!」と、映画史上初めてのこの役に元気いっぱいだ。

(週刊明星 12/02/62号より)

 

 

 

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