陽気な殿様

1962年12月15日(土)公開/1時間31分大映京都/カラーシネマスコープ

併映:「禁断」(井上芳夫/叶順子・宇津井健)

監督 森一生
企画 久保寺生郎
原作 五味康祏
脚本 笠原良三
撮影 今井ひろし
美術 下河原友雄
照明 古谷賢次
録音 林土太郎
音楽 斎藤一郎
助監督 大洲斉
スチール 小牧照
出演 坪内ミキ子(弥々姫)、高田美和(八重)、宇津井健(松平長七郎)、小林勝彦(八五郎)、天知茂(挙手田多門)、藤原礼子(おゆき)、真城千都世(お光)、佐々十郎(三次)、菅井一郎(田口半兵衛)、千葉敏郎(伴角右衛門)、若杉曜子(遊女1)、美吉かほる(富幾姫)、尾上栄五郎(山中新左衛門)、南部彰三(榊原忠次)、荒木忍(呑水和尚)
惹句 『雷蔵若殿の行くところ破天荒な事件の連続底抜けに明るく楽しい大型時代劇』『刺客、浪人、姫君、遊女喧嘩にデイトに事故続出オール若さでぶつかる雷蔵若殿

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■ 解 説 ■

 大映京都が市川雷蔵の明朗時代劇として自信をもってファンに贈る総天然色『陽気な殿様』は、五味康祐が週刊文春に好評連載中の同名小説を笠原良三の現代調のシナリオにより森一生監督が映画化する話題の娯楽時代大作です。

 内容は、男振りもよく腕前も抜群、さらに下世話にも通じた庶民的な若様が、江戸から浜松、さらに姫路へ向かう道中で巻き起す剣難女難の旅をコミカルな明るいタッチで楽しく描く雷蔵得意の明朗時代劇で、配役は、さきに大映入りを発表した坪内ミキ子(坪内逍遥の孫娘)がお姫様の役でデビューするほか、大映のホープ高田美和が可憐な腰元役で、また時代劇には珍しく宇津井健が松平長七郎の役で共演するという清新溌剌たる顔ぶれに加え、小林勝彦、天知茂、藤原礼子、真城千都世、菅井一郎、佐々十郎、千葉敏郎らのベテランががっちり助演陣を固めています。

 なおスタッフは、企画久保寺生郎、原作五味康祐、脚本笠原良三のほか、この種の明朗時代劇ではすでに定評のある森一生が快調のメガホンをとり、さらにこれを助けて名手今井hろしが流麗のカメラワークを見事に発揮しますが、加えて録音林土太郎、音楽斉藤一郎、美術下河原友雄、照明古谷賢次らの粒よりの精鋭陣がずらりクツワを並べています。

新スター・坪内ミキ子

 日本の近代演劇の父といわれた明治の文豪坪内逍遥の孫娘・坪内ミキ子が大映のスクリーンからデビューすることになった。入社第一作は五味康祐原作の『陽気な殿様』(監督森一生)と決定。

 彼女は本名坪内美紀子、昭和十五年東京生まれの二十二才で、現在早大文学部英文科四回生に在学中という知性と教養豊かなインテリお嬢さん。元早大教授t坪内士行氏の長女に当るが、母親はかって宝塚スターとして雲井浪子の芸名で舞台に活躍したことがあり、彼女の恵まれた環境と豊かな芸勘には多くの期待がかけられ、早くもその将来が嘱望されている。

身長・・・154センチ、体重・・・43キロ、蒐集・・・プログラム・ハンカチ、嗜好・・・果物、スポーツ・・・スケート、バレー、デンマーク体操、特技・・・仕舞(藤間流)・三味線・バレー・英文タイプ・自動車運転、好きな色・・・紺

■ 物 語 ■

 老中榊原忠次の嫡男・榊原隼之介は、男振りもよく腕達者なうえに下世話にも通じた庶民的な若殿で、時折屋敷を抜け出しては、大工の八五郎や鳶職の三次と気軽にへぼ将棋に興じるという自由奔放な生活を楽しんでいた。だが、御用人の田口半兵衛はそんな彼のためにいつも頭が痛かった。

 年頃の隼之介は、姫路藩十五万石の家督相続のため、江戸から姫路へ旅することになっていたが、備前三十万石の池田光政候さらに娘の富幾姫と婚儀の話が親同士の間でかなり進んでいた。しかし彼は愛情も湧かない形だけの結婚には一向に関心を示さず、八五郎と三次をつれて気楽な旅に出ることになった。もちろん半兵衛は忠次から彼のお供を仰せつかったが、隼之介は半兵衛ら一行に金魚のフンのようについて来られては面白くないというので、半日遅れの旅程でついてくるよう手紙で命じ、三人だけで先行することにした。

 道中、隼之介らは、すれ違いざまいきなり斬りかかって来た挙手田多門という剣鬼のような浪人や、茶店で途端に隼之介の横っ面をぶん殴った呑水和尚という雲水に会った。呑水和尚の豪快さに魅せられた隼之介は、これも修行の一つとばかり、彼につれられてとある宿場の女郎屋へ初めて足を運んだが、相方となったお光とのまじない合戦に勝ち、すやすや眠ってしまった彼女の枕元に二枚の小判を残したまま消えてしまった。

 やがて浜松の城下に入った隼之介らは、威勢のいい三人連れの若侍にからまれたが、たまたま通り合わせた浜松藩の家老斉藤勘解由は家中の者の無礼を詫びるとともに、ぜひ隼之介に相談にのってほしいことがあるという。

 勘解由の相談というのは、実は当藩には昔から二十万両の埋蔵金があり、そのありかを示す絵図面が八重という腰元の肌に彫込まれてあるところから、八重の身辺が危うくなったので、埋蔵金の処置を父の老中榊原忠次にまかせるとともに、八重の体を預かってくれというのである。案の定月明りの道を行く一行を襲う刺客が現われ、八重はあっという間に銃に撃たれ怪我をしてしまった。八五郎は八重を背負ってと三次とともに有馬の温泉へ先行し、八重の傷養生をしているうちに隼之介とおち合うことにした。そんなところへ側用人の半兵衛たちが追いついてきてしまった。

 隼之介は宿の入り口で立ち往生している菅野六郎左衛門の妻ゆきに出会った。彼女は隼之介の乳きょうだいだが、彼女の言うには、夫の六郎左衛門は伴角右衛門という浪人に闇討ちにあい、しかも犯人は隣藩の明石藩にかくまわれているという。角右衛門の身柄を容易に引渡さないということを知った隼之介は、一計を案じ明石藩の息女弥々姫の行列を襲い、彼女を人質として、一時その身柄を拝借することにし、八重たちの待つ有馬へと急いだ。弥々姫は心に染まぬ松平七郎との見合いに行かされるところだったので、隼之介の実力行使もさして迷惑ではないと、面白いことを言う近代的なお姫さんで、快活な隼之介とはすっかり意気投合したようす・・・。

 一方、有馬では八五郎たちの献身的な看護で八重の傷もすっかり治り、しかも八五郎と八重は、お互い甘い言葉を交すところまで発展、隼之介を驚かせた。予定通り翌日明石藩国家老の出迎えにより引渡されたが、犯人の角右衛門は、後刻、松平長七郎立会いのもと、須磨にて渡されることになった。長七郎に会った隼之介は、弥々姫強奪の一件を詫びると共に、浜松藩より引受けた八重の身柄について善処方を依頼、最後に約束の角右衛門と浜辺で対決した。角右衛門は鋭い小太刀で激しく隼之介を攻めたてたが、隼之介の身に一瞬危機が迫ったとき、角右衛門を袈裟懸けに斬り捨てた男があった。気違いの様に人を斬りたがる剣鬼のような挙手田多門である。隼之介はさらに多門に向かいむやみに人を斬る狂人沙汰は許せぬとばかり、ついに長七郎の目前で彼を見に事倒してしまった。

 後日、長七郎に会った隼之介は彼の口から意外な言葉を聞いた。弥々姫の奴は貴殿の方が好きだとはっきり言いおった。わしは、もっと外にいいのを探すよというわけである。ピンク・ムードに包まれた二つのおしどり駕篭が華やかな行列とともに江戸へ向ったのは間もないことだった。(DAIEI PRESS SHEET No.1119より)

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 徳川将軍家綱の頃、姫路十五万石の城主榊原忠次の御曹子隼之介君が、民情視察を兼ねて国許へ赴くことになった。幼馴染の大工の八五郎と、韋駄天の三次らを供につれてお家騒動に巻き込まれたり、禅寺で修行させられたりしながら、遭遇する剣難女難をいかに乗りきるか?殺伐な世界に生きる武士の陽気な一面を描く五味流漫遊記。(文春文庫「陽気な殿様」より)

五味康祏作「陽気な殿様」は文春文庫で読める。

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