初 夜

 雲平が帰ってきても夫婦の寝所は別だった。三日たって加恵ははじめて夫との夜を迎えた。「枕をもって行きよし」新妻の背に妖しいまでに光る於継の目があった。

対 立

 日ごとに露骨になる於継の冷淡さが、逆に加恵に雲平を夫としてたまらなく恋しい人に思いをつのらせていくのだった。二人の対立はますます深くなるのだった。

出 産

 加恵は身ごもった。青洲と名を改めた雲平の治療室はいつも患者でいっぱいだった。その頃青洲の研究は十年を経て、動物実験による麻酔薬は完成に近かった。加恵が娘の小弁を生んで間もなく於勝が乳ガンで死んだ。

 麻酔薬があれば手術が出来たであろう。しかし、動物実験に成功しても人間にはまだ使えなかった。誰か人間に試さなければならない。於継と加恵は青洲につめより「私を先に・・・」使ってくれと争った。 

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