“美男にふられるなら・・・”

 演技賞をもらってから急に光ってきた淡路恵子は、得難いワキ役女優の一人。その彼女大映『濡れ髪三度笠』で時代劇二度目の出演で市川雷蔵と初めて共演した。

 「私がお姫様役になったら笑われちゃうからね。時代劇は敬遠していた。でも、女優である以上は現代劇でも時代劇でも一応はこはせる俳優になりたい。そこでこの作品に出ることにした」というし「役どころも、雷蔵ふんする旅がらすにほれ込んで道中つきまとう鉄火ハダのアネゴ役という柄にはまった持役が気に入った」という。

 また「時代劇の演技になれていない私でも、この役ならあまり苦労せずに出来そうなこと、それにひとに恋される役なんて私の柄にないもの。はずかしいけど、この役のように好きで追っかけるのはたとえきらわれても気が楽でいい。雷蔵さんのような美男にふられるならお客さんもなっとくしてくれるわよ」とのん気なもの。

 相手役の雷蔵は油が乗っていて、キリキリして芝居がうまくて、一緒に演技していてもハリがあって負けない気でガン張れると、さすが演技派女優だけにファイトを燃やしている。

  

 

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