写真は左から本郷功次郎、中村玉緒、市川雷蔵、宇治みさ子
 ☆・・・市川雷蔵、本郷功次郎、新鋭田中徳三監督の大映時代劇“若い波”トリオが、好評だった前作の『濡れ髪三度笠』をしのぐ快テンポをねらったシリーズの第二弾。キャストは雷蔵と本郷の役が入れかわって、変装の若殿が雷蔵、姫をさがす若侍が本郷。二人に中村玉緒がからむほか宇治みさ子、左幸子、島田竜三ら。かしまし三人娘が特別出演している。

 ☆・・・将軍職を吉宗(伊沢一郎)と争って敗れた尾張大納言宗春(小堀阿吉雄)は、諸大名とはかって将軍家転覆をはかる。大岡越前守(島田竜三)によっていち早く察知した吉宗は、おいの松平与一郎(雷蔵)と宗春の息女菊姫(玉緒)を縁組させ、宗春の心をしずめようとする。これがどう間違って伝わったものか、与一郎も菊姫も家出してしまう。旅ガラスの与一郎、旅の女として出会った二人は・・・。

 ☆・・・初めからネタが割れているだけに劇の盛り上がり欠けるところもあるが、これをがっちり支えているのが雷蔵、本郷の好演田中演出。しかし、ワキ役以下が弱く、新婚の左幸子が道中、雷蔵ふんする与一郎に「お前さんの亭主になる男の顔が見たいよ」といわれて、キッと目をつりあげるくだりを除いて底の浅い笑いに終わったのは残念だ。かしまし三人娘の使い方にも研究の要がありそうだ。カラーワイド一時間三十五分。(名川)