家族のみた雷蔵さん
わが子雷蔵
市川 寿海
雷蔵が映画に入ってからは父子といっても別々に住んで今年になってもほんの二三回しか逢っていない。やはり親としてみれば淋しいというよりほかはない。
映画にはいるときでも、それほど反対はしなかったのだけど、二三年、映画の方で勉強したら、また歌舞伎の世界へ戻ってくれるように、思っている。
映画については私はゼンゼン知らないから、別に批判はしないが、それでもできるだけはみている。
私のいちばん心配しているのは、彼の性質があんなだから人様の前にでてどうしているか、とその点だけである。とにかく映画にいるかぎりはしっかりやってくれるようにと思うだけである。
ボンボンの雷蔵さん
森本 房
入社当時はキャメラの前で不安のようでしたが、いまではそれほど気にすることはなにもありません。だいたい根がボンボンだから、正直すぎて困る場合もあるほどです。とにかく人の前にでることも嫌いな彼が、もっといい意味での大人になるようにと思っています。
私の感心する点
住永 清治
雷蔵さんは食べ物の好き嫌いもなく、時間も規則正しく、感心することは夜いくらおそくても翌日のセリフの稽古をすることです。
(森本、住永両氏は雷蔵さんの世話をしながら同居している方です)(明星55年8月号より)