雷蔵さんは恵まれている!
司会: 本日はお忙しいのに御苦労様です。こういう機会にグループの方々を代表して、大いに熱弁を振るわれる事を期待しているわけですが、この所一段と演技の巾を拡げて来た雷蔵さんの、作品の上での成長と云った様な事からどうですか。
A: 新平家、大阪物語、炎上と雷さんの演技の成長には三段階にわかれる様に思えますけど・・・。
B: 確かにそれは云えますけど、新平家は雷蔵さんにとっては演技のデビュー作と云う事になるし、変って来たのは大阪物語からの様に思えるわ。それから浮舟も。
一同: 浮舟は良かったあ・・・。
C: 月形半平太も演技的にグットくるものあったし・・・。
D: 花の兄弟は雷蔵さんの初期の作品ですけどねえ、それを感じさせない程、メーキャップも良かったわ。
司会: あんまり、あばたもえくぼにならない様に(と注意され一同大笑い)
C: 初めの頃からみて衣裳が良くなったんじゃない?主演と云う事を考えてもらえる様になったのかしら・・・。
A: 稲妻街道は作品は良くなかったわね。
B: でもこの作品は衣笠さんが脚本書いているんでしょ、だからラストのあたりに衣笠さんらしさがあって良かったと思うけれど、私としては衣笠さんに雷蔵さんの本格的なやくざ物を撮ってもらいたいと思うわ。
C: やくざと云えば、二十人の喧嘩状は良かったわ、きれいで・・・。でも弥太郎の様な“かつら”はいやだぁ・・・。
A: それはその役によって吉良の仁吉の様な役と、一宿一飯のやくざとは違うんですもの、だから仕方がないと思うわ。似合う似合わないは別として・・・。
C: 現代物、時代物の違いはあっても大阪物語と炎上は似ている様に思うわね。
B: メーキャップの違いや、演技の面に力を入れてる事が同じですもの・・・。
C: 出演作品が片寄っていないという事が雷蔵さんのためにもいいと思いますけど。
D: 恵まれているんですねェ。