雷蔵さんに迫る人が必要

B: 大映のカラーがないって雷蔵さんが云っていらしたけど、私もこれはいけないと思う、今の大映って長谷川さんのカラーなのか、雷蔵さんのカラーなのか。

C: それに後から雷蔵さんに迫って来る若手がいないと云う事も、雷蔵さんのためによくない事だと思うわ、他の人をだんぜん離しているのは嬉しいけど・・・。

一同: ほんとうにそう思うわね。

B: それはやっぱり会社の力もあるだろうけど、なんといっても本人の努力が今日にしたと思うんだけど・・・。

D: 雷蔵さん、研究しているっていうけど、立廻りは時々いただけないのがあるわね。

C: 遊太郎の時のなんていったかしら・・・。

A: かすみ斬り?あれ、あんまりよくないんじゃないの、雷さんは、だいぶ研究したらしいけど(笑)

D: やっぱろ長い刀より、短い方がいいわ。

B: 会誌に立廻りのない時代劇って書いていたけど・・・。

D: でもどれを見ても腰が弱い感じね。

B: だめよ、これを云うと御本人いやがるから(笑)

一同: (笑)

司会: まだ云いたりない事が沢山おありと思いますが、今日はこの辺で・・・。

 

■ 座談会中、雷蔵さんの作品名が出ていましたが、一寸説明を加えておきます。

新・平家物語 溝口健二監督、当時清盛を演じる雷蔵さんに各方面から注目された作品(昭和30・9月)
花の兄弟 三隅研次監督(昭和31・6月)
月形半平太 衣笠貞之助監督(昭和31・10月)
大阪物語 吉村公三郎監督、メーキャップをせず忠三郎という番頭を心憎いまでに描き出した作品(昭和32・3月)
浮舟 衣笠貞之助監督、匂宮、雷蔵さんなればこそ出来た役どころとファンを喜ばせた作品(昭和32・5月)
弥太郎笠 森一生監督(昭和32・7月)
二十九人の喧嘩状 安田公義監督(昭和32・8月)
稲妻街道 森一生監督(昭和32・9月)
炎上 市川崑監督、現代劇初出演、そしてブルーリボン主演賞を頂いた雷蔵さんの本領を発揮した作品(昭和33・8月)
弁天小僧 伊藤大輔監督(昭和33・12月)
遊太郎巷談 田坂勝彦監督(昭和34・1月)
お嬢吉三 田中徳三監督(昭和34・4月)
王者の剣 加戸敏監督(昭和34・5月)
次郎長富士 森一生監督(昭和34・6月)
ジャン有馬の襲撃 伊藤大輔監督(昭和34・7月)

(59年7月20日発行 よ志哉12号より)