意外な“毒舌家”だった雷蔵さん

(大映)に私の入った一年あとに、雷蔵さんが入ってきました。最初に共演したのが「踊り子行状記」(安田公義監督)、最後が「雪之丞変化」(市川こん監督)でしたね。娯楽時代劇ばかり一緒でした。

思い出といえば、雷蔵さんと勝さんと私と三人一緒になれば、もうみんなで笑わせっこ大会になりましたね。監督さんに怒られるのはいつも勝さん。(笑)笑わせているのは雷蔵さんなんですけど、あの通り、すっとすましてしまうのね。関西弁で遠慮なく、それも毒舌で言いたいことを言ってましたよ。もう漫才をやってる感じ。(笑)ワァー、ワァー、キャアー、キャアー。

だから、撮影はいつも楽しい雰囲気でした。でもね、朗らかな中にもう一つ何かあるな、もう一つ別のところに自分をおいているという気はしましたね。

第一印象ですか、そうですね。俳優として清潔感あふれる、個性的な人でしたね。勝さんには線の太いものを、雷蔵さんの場合には、端麗な、ある種の線の細さを感じたことがありますが。

俳優というのは、生きていてお客様に接するのが一番の幸せなんですけど、雷蔵さんは亡くなられても、ファンの人や、こうしてレコード化されたりで、とってもシアワセな人だなと思いますね。

今いらしたら、是非ともご一緒に舞台をやりたい方ですわ。「ミノルフォンレコード・日本映画名優シリーズ市川雷蔵魅力集大成」より)