今年はツイてるぜ!
福山 からだを大事にすることはこれはもう薬でお腹が一ぱいになるくらい。(笑)
西地 部屋へ行くと薬がズラリ。(笑)
森本 ビオフェルミンやろうが、グロンサンやろうが・・・。
徳田 ゼットピーね。
福山 パッパッと口いっぱい入れて一度にゴクリ。
西地 彼はよくニキビが出るでしょう。胃腸が弱いんですね。ということは皮膚に力がなくなることです。だからそういう健康についてはすごく留意しておるのね。よく肥えた・・・この頃ね。
徳田 そして、目先をたえず新しく、これがやっぱり彼自身の生活態度でしょうね。とにかく何か前向きに進んで行きたいというような。今度やる「濡れ髪三度笠」もマヒナスターズを引っ張ってこようということを雷ちゃんは言い出す。錦之助さんが何かやっているやろ慶応の・・・。
福山 ダークダックス。
徳田 そうそう。そしたらおれはマヒナスターズをやりたいというのだな。(笑) 彼が自分で考えてサ、憑かれた人間みたいに、それで俳優課長さんの方へ行って、企画部へ行って、ここを作曲しなければいかん、こう頼みますよ、というわけですよ。とても“ひつこい”ぐらい。それがね、自分の芝居が少ないとか、筋がすっきりしなからとイチャイチャ言って自分がよくなろうというのじゃなしに、自分の写真をおくしようということなんでね、その点は非常にすっきりしていますね。やはり近代人だ。
西地 宣伝スチールを写す前に僕らが予備会議などしていても冷かし半分みたいに来るけれどもね。ポイントだけはスースーッと冷かしの中に入れて行くからね、あっそうかあ、痛いこと言われたなと思うことはよくある。
福山 それから必ず他社の写真を見ているね。よその写真を。
徳田 それはえらいね。
森本 相手の目標といえば錦ちゃん、橋蔵さんだ。映画を観ていい面もつかむかしらんけれども、存外わるい面をつかんでくるんじゃないかな。そして我が身の反省とする・・・。
福山 僕ら行くと部屋でよく聞くね。錦ちゃんの何がよかったとか。
徳田 それから、洋画もよう見ている。現代の映画技術の水準だとか、新しい手法だとかをみて。
森本 それを自分のものとして持って行ってしまうわね。
徳田 企画がね、面白いほど実現して、気持が悪いといってる。一年前からの念願だった「風と雲の砦」(註:井上靖作、野田城の戦(1573年)から始まって長篠の戦い(1575年)までえを描く。)が実現し、山本周五郎の「町奉行日記」(註:映画『どら平太』原作、59年三隅研次監督、勝新太郎主演の『町奉行日記 鉄火牡丹』として映画化された)これは彼がいいなあと思って言ったら企画部でもすでにやっておる 『ぼんち』ができるでしょう。『好色一代男』でしょう。『かげろう絵図』やわね。正月までぴしゃっと詰っておるわけや。とてもアメリカ行きどころでないと張り切っておる。
森本 まして主演賞ももらった。一番大事なときやからね。アメリカさんどころでないわね。
(近代映画59年9月号より)