二人は犬猿の仲
私と雷蔵さんが、初めて共演したのが『美男剣法』以来八本お相手させていただきましたが、いつも演技のしやすい様に気を配って下さった雷蔵さんです。
よく人から「雷蔵さんとは、ウマが合うんだね」と云われますが、普段は顔さえ見れば憎まれ口を聞いて、喧嘩ばかりしているんです。最近撮影の終った『鬼火駕籠』はそんな私達にほんとうにピッタリした役でした。撮影を見ていた雑誌記者の人に「いいですねェ、お二人さんは、地でやれるんですから」なんて冷やかされる程、私と雷蔵さんは犬猿の仲みたいなんです。でも本心は、とっても親切な方で、私が病気などすると一番に御見舞いに来て下さるのも雷蔵さんです。
率直で、明朗で、努力家で、誠実で、近代青年の条件をみんなもっている雷蔵さん、私も大好きです。
今、雷蔵さんは大映で『桃太郎侍』を、私は松竹で『伝七捕物帖』を撮っております。会社は別々に離れていても、いつも雷蔵さんの成功を祈っております。
一作毎に、演技の向上する雷蔵さんをみることは自分の事の様な嬉しさです。又、御一緒にお仕事の出来る日を楽しみにしています。御元気で、頑張って下さい。