陰の人たちがみた横顔
「堅実な進歩を期待」 市川雷蔵後援会会長 霜中祥宏
雷蔵さんは、デビュー以来またたく間に、時代劇界のホープとなり、人気スタアに躍進されました。あの気品ある容貌と、素質に恵まれ努力を惜しまない雷蔵さんが、映画界の輝ける将来を約束されたのも当然のことでしょう。私はあのサバサバしたこわいものなしにものを云う気性が大好きなんです。清潔でくもりのないすっきりとした容姿は、どう見ても貴公子です。それでいてちっとも高ぶらない人です。
「声は舞台で鍛えただけに、驚くほど澄んだいい声だわね」
「チラット見上げた時の目つきが何とも云えないわ」
などと雷蔵さんの魅力について話あっている女性ファンを時々目にしますが、私も確かにその通りだと思います。また、反面「町人や、やくざ姿になった時腰から下の線が何となく頼りないわね」
などと、相当鋭く観察しているファンの人もあります。修業には終りがないとよく云われますが、ともあれ、我々の雷蔵さんが今後ともきびしい芸道に益々精進されて、一歩一歩堅実に歩み続けられ、その洋々たる前途の彼岸に到達されんことを、愛情と声援をもって会員の皆さんと共に願うものです。
はなやかな人気スタアとしてでなく、しっかりした演技を身につけた、真の大スタアとして活躍される日を祈るものです。(56年3月発行、「平凡スタアグラフ・市川雷蔵集」より)